風の坂道

映画・F1・読書・ゲームその他日々の思ったことをフィーリングで書き綴っております。ほえほえうにうに。

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姑獲鳥の夏

一言で言うならば、チープ。
先週観た「戦国自衛隊1549」すら、あれだけのクオリティを出しながらもダメ出しされるほど観客の目は厳しいというのに。
予算に差があるのだから、戦国自衛隊と比べてはいけないのはわかるが…
日本の特撮技術はピンキリだと思い知らされた。
あと、これだけ脚本のひどい映画も珍しいと思う。

語るも涙という感じだが、言いたいことは山ほどあるので…

※原作読んでない人にはネタばれな内容なのでご注意


★良かったところ

・セットが良い。特に京極堂店内、中禅寺邸内、眩暈坂、薔薇十字探偵社。
 雰囲気が非常に出ている。

・映画でもきちんと「御払済」

・京極と関口の会話は雰囲気がとても良かった。
 関口のひねくれかたは、もう少し子供っぽくてもいいと思ったが許容範囲。
 干菓子を食べる京極の顔がまた、良い。

・石榴がとても可愛かった。かなり登場シーンが多い(笑


★悪かったところ

・せっかくのセットを撮るにあたって、照明効果がチープすぎて興醒め。
 火曜サスペンスを見ているようだった…。
 また、舞台劇風にスポットライトを使った演出があるが、余計。
 もっと自然に役者の表情を生かせる照明を使ってほしかった。

・暗闇で落雷に照らされるシーンが、ピカチュウ現象。
 フラッシュが激しすぎて、直視できないし役者の表情もよく見えない。

・火災シーンが長すぎ。
 台詞も人物の登場すらもなく、色々なアングルからただ燃えるのを撮っている。
 そしてCGなのがばればれのチープな映像。
 ゲームじゃないんだから…弟切草のPS版を思い出したぞ。

・濡れ場無し、性的な用語も一切無し。
 これでは核心がさっぱりわからないだろう。
 関口と涼子の真の関係は語られずに終了。

・「無頭児」という言葉も出てこない。
 京極が「蛙の顔をした赤子」の不思議を解くシーンがごっそりないため、
 「蛙の顔をした赤子」は障害児ではなく呪いで生まれて来たようにしか見えない。
 あの部屋に、無頭児ばかりで普通の新生児がないのもおかしい。
 というか、無頭児はむしろ少ないはず。

・人格「母」が生まれた経緯がぼかされている。
 乳児虐待をはっきり描きにくいのはわかるが…
 菊乃が「私は母のまねをしただけ」と言うのみで、なぜ石打ちが必要なのか語られない。
 「石で…打ちました」という衝撃的な台詞も、ない。
 呪いが返ってきている、という京極の弁も出ない。
 そのせいで、「京子が赤子を攫う」→「母が殺す」という図式が見えない。
 あれでは「京子」と「母」を混同する観客は多いだろう。

・「姑獲鳥」のイメージ映像のようなものが流れるのだが、あまりに酷い。
 「ハーピーが腕(に、ついた翼)をばたつかせて叫んでいる」姿に見える。
 (ちょうど、講談社文庫版の表紙のような姿である)
 原作では、関口が姑獲鳥を思い描いたり白昼夢に見るシーンでは
 赤子を抱き下半身に赤い布を巻いた、悲しげな女性のはず。
 (石燕の絵のような姿だ)
 そしてこいつの登場シーンがまた、多すぎ。

・京極堂祈祷シーン(”生まれる”ところ)の特撮たるや、情けない。
 他にもっと表現方法はなかったのか…

・京極先生自らの出演や水木しげるはともかく、鬼太郎はどうかと…
 正直、醒めた。


・これが最も気に入らなかった。

 京極が2度も「これは科学だよ。」と言う。
 あのタイミングで2度も「科学」という言葉を使っては、京極が
 「世の中には不思議なことなどなにひとつない」=「科学で解明できないことはない」
 という論法で語っているようにしか見えない。
 「科学で解明できるから不思議はない」のではなく、
 「起こるべくして起こるから不思議はない」が京極の論法のはずだ。
 どんな理論に基づいて起こるかは、問題ではない。
 脚本家は原作で京極が述べていることの意味をわかっているのだろうかと疑いたくなる。


★登場人物
京極堂:
 風貌はイメージとずれがあるものの、演技は好演だった。
 まくしたてるトークは小説のキャラそのもの。
 ただ、拝み屋装束が漆黒でないのはどうかと…
 もう少し体重を落として、仏頂面で臨んでくれれば最高だった。

 脱線するが、日本の俳優は演技面での役作りは素晴らしい役者がたくさんいる。
 しかし、体重調整や体格調整などの身体面までは作りこんでくる役者が少ない。
 このあたりが邦画の弱みのひとつであると思う。
 
関口:
 個人的には、もう少し少年っぽさが残る演技をしてほしかった。
 とはいえ許容範囲だし、雰囲気は非常に良かった。

榎木津:
 破天荒な人物像はどこへ行ったんでしょうかねぇ。
 ただの常識人だし…
 謎解きシーンでの内藤に絡む暴れっぷりが良かったのに。
 ダットサンを捨てるシーンは榎木津のインパクトを読者に与える
最高のシーンなのだが、まるまる削られているのも残念。

木場:
 原作に忠実な好演。
 やはり風貌は物足りないが、性格は一番よく作れていたと思う。

敦子:
 衣装も良く、利発で活発な性格も良い。
 ただひとつ、榎木津を「榎さん」と呼んだのがとても気になった。
 それはないだろう…

涼子・梗子:
 梗子はまぁ良かったが、涼子はもっと線が細いと思う。
 脚本の時点で人格ごとのキャラ付けが甘いのか、
 演じ分けもできておらず原作のような強烈なイメージが持てなかった。

菊乃:
 原作では京極に追い詰められて次第にキレていったのだが…
 キレているシーンがほとんどで、あれじゃただのヒスだよ。

千鶴子、雪絵:
 千鶴子のほうが美人のはずなのだが…雪絵が華やかすぎ。
 現実離れした美人の涼子に対し、家庭的な美しさのある雪絵を
選んで欲しかった。


結論:2時間では無理ですね!

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はじめまして。私が感じた違和感を、あまりにズバリと紗月さんが指摘・表現されている気がして、TBさせていただきました。

>京極先生自らの出演や水木しげるはともかく、鬼太郎はどうかと…
 正直、醒めた。

ここは特に同意です。京極夏彦氏、映画制作にずいぶん関わっていらっしゃったんですね。なにかの紙面インタビューでもっと映画とは一歩引いて、というか第三者的な立場でいるような印象を受けていたので、出演には驚きました。
「映画化うれしい!」という想いが伝わってきすぎてしまい醒めてしまいます。

2005.07.28 03:01 URL | ゆ #3v9IlUEY [ 編集 ]

TBとご紹介、ありがとうございます。
ゆ様の記事も拝読し、こちらからもTBさせていただきました。

役者さんの演技やキャラ作りは、期待していなかった分もあってか、思ったよりいけてましたね。
>原作のくどさも薄まって、より多くの人に受け入れられるかもしれない?
と書いておられましたが、確かに映画のキャラ作りのほうが一般受けはしそうです。

京極先生の出演については、京極ファンの方の感想Blogではファンサービスとして好評のようですね。
カメオ出演や関係者がモブ出演することはよくある話ですが、あれだけ長時間の出演はそうそうないことだと思います。
現実に引き戻されたというか…醒めますね。
出演だけならまだ良いですが、「鬼太郎」という作品を出したのにはさすがに引きました。
映画に現実を混ぜ込んでしまうのはどうかと思います。

>なぜ夫は殺されたか
私は内容を覚えていたので気づきませんでしたが、確かにあれでは原作での殺害理由はまったく読み取れませんね…。
原作では恋文をもらっていないのに何度も聞かれることなどが深く関係していたと思いますが、映画では「間違った相手に恋文を渡した」ことは判りますが「そのせいで藤牧と梗子の間にトラブルが起きたこと」が全く出てこないですね。
これに限らず、映画ではそれぞれの行動の「動機」が原作とは違っていたように思います。


2005.07.28 11:20 URL | 紗月 #- [ 編集 ]

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